ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

民法改正で変わる連帯保証契約

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年8月1日更新 <外部リンク>

民法改正で変わる連帯保証契約

賃貸借契約の極度額について

<相談事例>sinnpaihaha

関東地域に居住している息子から、2年ごとの賃貸借契約更新の書類が届きました。例年通り連帯保証人となるべく記入をしていると、極度額なるものがあり、何と25,800万円という高額な料金が記載されています。驚愕して夫が「このような高額な連帯保証金額の書面に記入・押印することはできない。」と申します。今までは極度額なるものは記載されていませんでした。どのように対処すればよいでしょうか。書類の返送まで日がありません。

 

解説とアドバイス

2020年の民法改正により、4月1日に「民法の一部を改正する法律」が施行されました。その中で、賃貸借契約や保証について、ルールの明確化や見直しがされています。これまでの賃貸借契約では、保証する最大限の額(極度額)を定めないで連帯保証をしている場合が多く、予期せず高額な債務を負うことがありました。

そこで改正民法では、賃貸人が個人の保証人を求める場合、連帯保証人が負う極度額を定め、なおかつ書面などで契約しなければ保証契約は無効になるというルールが設けられました。(※民法改正の明文には「極度額設定の上限」の制限はありませんが、宅地建物取引業協会、司法書士会では極度額について、常識的に考えれば、18カ月から30カ月くらいが妥当で、2年更新を考えれば、24カ月から30カ月くらいではないかとのご意見でした。)

国土交通省の調査資料によれば、裁判所の判決において、民間賃貸住宅における借主の未払い家賃等を連帯保証人の負担として確定した額は、平均で家賃の約13.2か月分でした。apa-to

裁判所の判決における連帯保証人の負担額

負担総額/月額家賃等(月)

平均値:13.2か月分  最小値:2か月分  中央値:12か月分   最大値:33か月分

※負担総額には、未払い家賃のほか、原状回復費用、損害賠償費等が含まれます。

なお、今回の改正で対象となるのは、個人が保証人になる場合で、保証会社による保証は極度額を定めなくても無効にはなりません。しかし、実際は、保証会社との保証契約では、保証限度額を家賃○カ月分と定める場合が多いようです。今回の改正民法が適用されるのは、原則として施行日以降に締結された契約からとなりますので、注意しましょう。

契約書面は十分に確認・検討し、不審な点や不明な点があった場合は消費生活センターへご相談ください。