ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

ねずみの臼すり

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年12月26日更新 <外部リンク>

 昔、ある所に正直なじいさんとばあさんがいました。じいさんは、今日も大きなおにぎり弁当を、ばあさんからこしらえてもらって、山へたきもん採りに出かけました。じいさんは、せっせと薪を採っていると、おなかがぐうぐう鳴たので「やれやれ今日は仕事がさばけたなあ、そろそろお昼にしようかのう」と、木の株たんに腰をおろし、ばあさんに作ってもろったおにぎりをうまそうに食べ始めた。「働いた後の飯はうまいのう」といいながら、ペロッと食べて、もういっちょのにぎり飯を取り出そうとしたら、さあ大変、坂道をころころと転げていった。

 じいさんは、「にぎり飯待て、にぎり飯待て」と追いかけていった。にぎり飯は、とんとんころり、とんころりと穴の中に転げ込んでしまいました。じいさんも穴の中に跳び込んで、追いかけて行きました。

ねずみの臼すり

 ところが、穴の中が急に明るくなって、大きな部屋の中では大勢のねずみたちが臼すりをしていました。じいさんが柱の陰からじいっと見ていると、ねずみたちは「猫さえおらねば花の都で、えっせっせ」と歌いながら臼すりをしていました。

臼からはお米ではなくて、金貨や銀貨がジャラジャラ出てきました。

 じいさんが鼻をつまんで、「にやあおん、にやおん」と猫の鳴き声のまねをすると、さあ大変、大勢のねずみたちは「そら、猫が来た、逃げろ、逃げろ」と一匹もいなくなり逃げてしまいました。

 じいさんは、大急ぎで金貨や銀貨を袋に詰めて持って帰りました。こうして、急に大金持になったのを知った隣の欲深いじいさんが、根堀り葉堀り、話ば聞きたがるので、正直じいさんは、とうとう話して聞かせました。

 めったに薪採りにも行かない怠け者の欲張りじいさんは、ばあさんにおにぎり弁当を作らせて、山に行きました。それで仕事は少しもしないで、早速にぎり飯を取り出して、わざと転がした。そして無埋に穴の中へ押し込んで「にぎり飯待て、にぎり飯待て」と言いながら穴の中に、はいって行ったげな。

 にぎり飯はとんころりと転げて行った。中が急に明るくなったので、じいさんは「ははあ、ねずみの家はここじゃな、俺も大金持ちになるぞ」と部屋に近づいて中をのぞいて見ると、話に間いたようにねずみがいっばいおって、「猫さえいなければ花の都でえっせっせ」と臼をすっていました。欲張りじいさんは鼻をつまんで「にやおん、にやおん」と猫の鳴くまねをしたところ、ねずみたちは逃げるどころか、「そうら、このあいだの盗人じいが来たぞ」というように、何百というねずみがじいさんに跳びかかって、鼻をかじるやらほほをひっかくやら、手足にかみつくやらで、じいさんなあ半殺しの目にあって、泣く泣く家へ帰って来たそうな。

おしまい。