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第3期志免町子どもの権利委員会だより(第2回)

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年12月26日更新 <外部リンク>

 子どもの権利委員会だより

綴方教師―その子どもを見る目―

志免町子どもの権利委員会 委員 藤田 尚充(元西南学院大学教授)

戦前,日本の学校では生活綴方教育の実践が広く行われました。「生活綴方」とは,既成の経験や知識を書く作文と違って,現実に直面しているその時の実感を「その時」のことばで綴らせる表現です。それによって教師は,現実生活の内に生きるありのままの子どもの姿をつかもうとしました。またそれを教材にして,その子に自らの生活現実とそこでの自分の在り方を意識化させる指導を行いました。

  きのう私は,私の家のうらの,私の家の畑の,私の家の桃をとってたべました。(菊池松次郎)

 たった1行書いてきた松次郎の綴方は,「私の家の」が何回も繰り返され,通常はこれをよけいなコトバとして削る指導が行われるでしょう。しかしこの先生はそれをしなかった。なぜ,くりかえすのだろう? そして先生は他人のものを盗むという松次郎へのクラスの目に気付きます。「私の家の」は簡単に削ってよいコトバではなかったのです。

 このように子どもをありのままに捉えようとした生活綴方の教師は綴方教師とよばれています。綴方教師のように,私たちも子どものことばや行為の内にある思いや意味を捉える努力を続けたいものです。