クーリング・オフについて
クーリング・オフ制度とは?
特定商取引法やその他の法律に定められた消費者を守る特別な制度です。
いったん契約をしたら、原則として一方的に契約を取りやめることはできません。
しかし、訪問販売や電話勧誘販売などの不意打ち的な取引や、複雑でトラブルになりそうな危険な取引などは、情報や知識のない消費者にとっては不利な場合が多くなります。
そのため、特定の取引方法に限って、いったん契約をしてしまった後でも一定期間、消費者に熟考する時間と余裕を与え、その期間内であれば契約をやめる(解除する)ことができる制度です。
クーリング・オフにより契約をやめる場合は、理由はいりません。
※クーリング・オフ(Cooling-Off)は、もともと「頭を冷やす」という意味です。
クーリング・オフの効果
クーリング・オフは、通知書を書いて業者に送ることで、無条件で契約の解除ができます。
(クーリング・オフは、必ず書面でおこなってください)
〇事業者は、損害賠償金や違約金を請求できません。
〇事業者は、契約時の前払い金や一時金をすみやかに返金しなければなりません。
〇消費者が受取った商品の返送費用は事業者の負担となります。送料着払いで、返送してください。
〇役務契約で、すでに事業者よりサービスの提供を受けている場合でも、事業者は支払いの請求ができません。
〇工事などにより建物等の状態が変更されている場合などでは、消費者は事業者に対して無償で原状に回復するよう請求できます。
クーリング・オフができる取引と期間
すべての取引でクーリング・オフができるわけではではありません。
(クーリング・オフができない要件を次の「クーリング・オフの注意点」にあげます。)
取引方法 | 適用対象 | 期間 |
訪問販売 | 家庭訪問販売・キャッチセールス・アポイントメントセールスほか、 営業所以外での契約 | すべての商品・役務及び政令等で 指定された権利 | 8日 |
訪問購入(買取) | 事業者が消費者の自宅など店舗・営業所以外の場所で 消費者から物品を買い取る契約 | 原則すべての物品 【対象外の主なもの】 ○自動車(2輪車を除く)、家具、家電 (携行が容易なものを除く)、本、CD、 DVD、ゲームソフト類、有価証券 ○消費者自ら自宅で契約を請求した場合 いわゆる「御用聞き」の場合など | 8日 |
電話勧誘販売 | 事業所の電話勧誘行為での契約 | すべての商品・役務及び政令等で 指定された権利 | 8日 |
連鎖販売取引(マルチ商法) | 個人を販売員として勧誘し、さらに次の販売員を勧誘させる形で、 販売組織を連鎖的に拡大して行う商品・役務購入契約 (店舗・営業所契約を含む) | すべての商品・役務・権利 | 20日 |
特定継続的役務提供 | 長期・継続的な特定の役務(サービス等)の提供と これに対する取引契約 | エステ、語学教室、家庭教師、学習塾、 パソコン教室、結婚紹介サービス ※契約期間:エステは1ヶ月、 その他のサービスは2ヶ月を超えるもの ※契約金額:5万円以上 | 8日 |
業務提供誘因販売取引 (内職・モニター商法) | 提供される仕事で収入を得るためにおこなった商品などの購入契約 (店舗.営業所での契約を含む) | すべての商品・役務・権利 | 8日 |
クレジット契約 | 個別信用購入あっせん | 訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的 役務提供契約による与信契約 | 8日 |
連鎖販売(店舗等を用いず個人間で 行われるものに限る)・業務提供誘引販売契約による与信契約 | 20日 |
宅地建築物取引 | 店舗・営業所以外での契約 | 宅建業者による宅地建物の売買契約 | 8日 |
生命・損害保険契約 | 店舗・営業所以外での契約 | 契約期間1年を超える生命保険・ 損害保険契約 | 8日 |
その他、法律や契約約款などにクーリング・オフの定めがある場合 |
クーリング・オフの注意点
〇消費者保護のための制度ですので、営業を目的のために購入された契約は適用されません。
〇自分からお店に行ったり、広告やHPを見て自分から電話やインターネットで申込んだ場合には、通常クーリング・オフは適用されません。
〇現金取引の場合、契約総額が3,000円未満であれば適用されません。後払いの場合はその制限はありません。
〇自動車販売や自動車リース、葬儀など政令で定められた商品・役務には適用されません。
〇クーリング・オフ期間の起算日は「法定の契約書面が交付された日」であり、初日に算入します。
※クーリング・オフに対する妨害があった場合、
クーリング・オフの記載内容、数量、価格などに不備のある書面を交付された場合、
契約書面をもらっていないときは、クーリング・オフ期間が延長されます。
クーリング・オフの仕方
クーリング・オフの具体的なやり方と通知書面の例を紹介します。
1.クーリング・オフは書面で行います。
2.相手業者の代表者宛に出します。
3.特定記録郵便、簡易書留や内容証明郵便など、相手方にこの通知が確実に届いた事が証明できる郵送方法で送ります。
4.クーリング・オフ期間中に書面で通知することにより有効になるため、たとえ期間内に事業者に到達しなくても大丈夫です。
5.例のように、はがきに書いて両面をコピーに取り、コピーは控えとして大切に保管してください。

5.クレジット契約(信用販売)をしている場合はクレジット会社(信販会社)にも通知する必要があります。

※無事に手続きが終わったら、関係書類は5年間、保管しておいてください。
(商法では、業者の債権は5年で時効が完成すると定めています。)